クローラーは単なるデータの収集ツール。収集することは目的ではなく手段に過ぎません。なんとなくWEBからデータを集めると良いことがありそうな気がするけれど、一体何に活用するのかと考え出すと悩んでしまうものです。利用シーンはビジネスに限定した上で、いったいどんなアプリケーションやツールで利用されているのかをご紹介していきます。

営業リストを作るための情報を収集する

最も多くの企業が活用しているのが営業リストの作成です。クローラーの導入有無に関わらず、多くの企業では営業スタッフの人たちは、各人が営業確度の高いと思われる企業が掲載されているサイトをチェックしているものです。そうした作業を標準化して、より多くのスタッフが、より効率的に使えるリスト化するためにクローラーを活用するというものです。営業リストとして利用する場合は、無作為に情報を集めるというよりは、絞り込んだサイトの中からクローリングするという方法をとられることが多いのも特徴です。また、取得対象とするサイトも、営業結果から定期的に追加、変更などを行うことで、継続的に活用がしやすくなります。アプリケーションとの連携ではセールスフォースに代表されるようなSFAツールや、営業スタッフの方が自分のパソコンで利用するエクセルなどが対象となります。

市場分析をして戦略、戦術レベルで攻めるエリア、セグメントを見つけるためのクローラー活用

次に多いのは市場分析のための情報収集のためにクローリングするというものです。市場分析というのは自社が持つ商品を販売していく上で、今、必要としている人たちが多いエリアやセグメントを見つけ出して、営業戦略、マーケティング戦略に活かしていくための分析データです。東京での売り上げが低迷しており、リストも枯渇していきている時などに、全国レベルで調査をしてみると、他社が静岡で
売上を販売を伸ばしていることがわかれば、ニーズが一巡してしまった東京エリア以外に販売エリアを広げるという選択をとるのは効果的です。市場分析では、複数の情報を、一定期間、収集、保存を行って推移を見ていくことで、より高い精度を出していくことができます。システムとしてはBIツールなどと連携することが多く、出力データを自動で取り込むところまでを実装されるケースが多いのも特徴です。

競合分析、調査をするためのクローラー活用

市場という大きな単位よりも、特定の企業を調査、分析するために活用されることも多くあります。この場合、多くは競合を指定されることが多いのですが、競合がインターネットのニュースやプレスリリースにどのように、どの程度の回数、露出されているかであったり、どのような広告を展開しているのか、支店、店舗などの展開状況はどうなっているのかなどを恒常的に監視するというものです。新しい動きがあれば、担当者にメールで自動通知するなどして、より早く、競合の動きを追っていくことができます。アプリケーションとしての連携はあまりなく、担当者、関係者に向けてメールを送信するという方法が採用されることが多いという特徴があります。

顧客に提供する営業スタッフのおみやげレポートを作成するためのクリーリング

営業活動というのは何も新規のお客様へのアタックだけを意味しているものではありません。営業では、大切な既存顧客、お得意様のフォロー、アプローチも重要な業務になります。多くの市場では予算をたくさん持っている、魅力的なお客様には多くの企業が営業を常にかけており、お取引がはじまった後であっても満足を勝ち取り続ける努力は続ける必要があります。営業部のなかにエース級のスタッフの方たちの多くは、こうしたフォローを効率的に進め、満足を勝ち取るのがうまい方がほとんどです。そうした方たちの行動のひとつに、訪問時にお客様が喜ぶ「おみやげレポート」を作って持っていくというものがあります。お客様が気にしている、お客様の競合の動きであったり、市場の動向など、そうした求められている情報をおまとめして、お付き合いの価値を高めるというものです。こうしたおみやげレポートをネット上から自動で収集した情報をもとに、取引先ごとに最適化されたレポートを作るという利用事例もあります。

このようにクローラーといっても、ビジネスでは様々な用途で利用されています。すべてに共通しているのは、売上拡大か、コスト削減のいずれかを目的にしているというものです。この２つのために、どういったアプローチで活用すればいいかは状況によって変わってきます。営業、マーケティングでクローラーの導入をお考えの際の参考としてぜひお使いください。